日本グランプリなどの影に隠れて

日本で開催されていた自動車レースとは、スポーツカーを用いたものでした。ですがフォーミュラーカーを普及させたい、排ガス対策を目的にしたいといった思惑の中でスポーツカーレースはその需要を喪失していってしまっていった。またそれを加速させたのには、1982年にてFIAが行った大幅な車両規則を改変したことによって、さらにスポーツカーレースは縮小せざるを得なくなっていきます。

ただこうした状況でも今でこそ開催される機会こそ無くなりつつあるものの、かつてはスポーツカーレースも日本グランプリなどと比べれば規模はそれほど大きくないにしても、開催されることにはされていました。その代表的な物として上げられるのが、全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権です。大会そのものはFIAに認定された物だったが、この大会は同時に世界市場における自動車業界の殺伐とした開発技術を披露し、如何に自国の自動車が優れているかを証明するような物でもありました。

この選手権と同時開催で世界耐久選手権も開催されるようになると、日本も底力を発揮しようと躍起になります。その先に待っている強敵ともいうべき存在は、高級車の代名詞を欲しいままにしていたポルシェの存在がありました。総合的に見れば、この大会は日本の自動車技術がどれほど進化しているかを示すお披露目の場、そんな特色がとても強かったのです。

カーレースといえば

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ポルシェVSトヨタ・日産

この耐久選手権はスポーツカーとしての耐久力を競い合って行われるものですが、同時に世界の自動車メーカーとして樹立されていたポルシェと日本の大手自動車メーカーであるトヨタと日産、この三すくみに因る戦いとしても語れるのです。実際に開催されたレースの歴史を紐解いても、初年度を制したのはポルシェ製の自動車だった。試合にはトヨタと日産の、同時期に開発されたものの中でも最新型ともいうべきマシンが投入されたものの、完敗する形で勝利を明け渡してしまったのです。同時開催で行われた世界耐久選手権でもポルシェの自動車が3位という表彰台に上がれる記録を打ち立てたことで、益々ライバル心を駆り立てられていったのです。

その後何度となくポルシェと勝負しながら、時にBMWの自動車が勝利することもありましたが、国産メーカーが大会をようやく制することが出来たのは初開催から7年後の1990年という時間を要した。それまでの戦歴を見ても、トヨタ・日産の両企業が創りだした自動車は活躍するものの、それ以上にポルシェが圧倒的な性能差でシリーズチャンピオンを飾るなど、圧倒的な実力差を見せつけます。同時に日本の国産メーカーが作り出す自動車がいまだ世界基準に届いていない事を意味しているため、企業側にしてみればやるせないところだったのかもしれません。

1991年からはトヨタ・日産の全面対決となるも日産が勝利し、翌年1992年はバブル崩壊による影響で大会運営がままならなくなったことで、自動的に終焉を迎えることとなってしまった。

技術力という面で

今でこそトヨタは世界に誇る日本でも自動車トップブランドとして君臨していますが、そうなるまでの時間と研鑽は他の企業と変わりありません。現代期になってこそトヨタの名は世界に広まっていきましたが、80年代はまだまだ日本ブランドは世界へ与える影響力は微々たるものだったと、そう思わせる内容をこの耐久選手権にて証明している。

そう言う意味であのポルシェを打倒するまでに7年という時間を掛けたというのなら、逆に大したものなのかもしれません。それこそ世界基準で考えても老舗メーカーの1つに数えられる企業を10年足らずで技術が追いついたのだから、大したものでしょう。

憧れのあの車

末期は目も当てられない状態に

盛り上がりを見せていたのも80年代中盤頃までで、末期となる90年代初期にて開催された大会、それこそ最後の大会となった1992年では参加台数が10台前後という、競うにしては些か数が足りないのではないかと思わせる試合を繰り広げていました。なんとか開催させようと翌年1993年にも選手権を開こうとしましたが、エントリーする自動車は3台のみという寂しいを通り越した結果に陥ってしまい、やむなく中止に追い込まれてしまいます。

それでも選手権開催を成立させようとしたが上手くいかず、1992年の大会を機に事実上の活動終焉となってしまった。ただ大会そのものは開催されなくなってしまっても、結果的にポルシェよりも早い自動車を作り出せたという事実は覆りません。その点で見れば、この大会があったからこそ日本の自動車産業が世界に名だたるブランドとしてその地位を築くことに成功した。その点だけははっきりと言えるはずです。